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空き家活用のための基礎知識

更新日:2023年12月6日更新 印刷ページ表示

空き家活用のための基礎知識【空き家所有者向け】

空き家は、活用することで地域の資源になりますが、放置してしまうと様々なトラブルや負担につながります。
使われていない家屋を賃貸や売買物件として活用することは、瀬戸内市で暮らしたい人たちに住まいを提供することでもあり、地域の活性化にもつながります。

瀬戸内市内に空き家を所有していて、活用を考えられている方は、ぜひ本記事を参考に活用方法をご検討下さい。

1.空き家の活用に際して

空き家の活用と一言で言っても簡単に話が進むことばかりではありません。
​空き家を所有している方が置かれている状況や、その家に対しての気持ち、想いなどは多様であること、また、空き家を探している移住希望者等が希望する暮らし方、目指す生き方、譲れない条件なども多様です。
細かな条件を決めたり、具体的な交渉に入る前に準備しておくことなどを、あらかじめ確認しておきましょう。

所有者(相続人)ご自身の意向を確認する

空き家の所有者が、物件についてどのように考えているかを確認しておきましょう。
家財道具や仏壇などが残っていたり、補修が必要だったりといった理由によって空き家のままになっている物件も多くありますが、所有者(または相続人)は、空き家となっている理由を明確にし、空き家問題が起きた際には、できるだけ速やかに解決できるよう準備しておくことが大切です。


物件に対する気持ちや考え方を踏まえた上で、活用方法やメリット・デメリットを明確にし、その結果、物件を活用しようという動機につながれば、早めに行動に移しましょう。

活用者側の意向を知る

移住者など、空き家を活用したいと考えている方にも、希望や目的があります。物件について、購入希望なのか賃借希望なのか、住居についての費用負担(家賃・光熱費・修繕費など)はどの程度を考えているか、といったことを知ることで、活用の方向が見えてくることもあります。


瀬戸内市空き家バンク利用登録者(あるいは移住希望者)の意向を調査すると、希望する空き家物件の地区条件で多いのは「牛窓地区」となっています。
また、希望する売買価格は0~300万円、希望する賃貸価格は1~3万円が多く、修繕(DIY)を自身で行いたいという意向もよく聞かれます。
空き家を探している側の意向を知り、活用の参考にしてください。

物件による判断

物件そのもので判断する場合もあります。
建物の状態(修繕の必要があるか、市場性、市場価値、といった指標)を合わせて考えてみましょう。

下図では、縦軸に物理的現況の良さ、横軸に市場性の高さを置いています。
左下のマスのように、物理的現況も不良で購入希望者や入居希望者が見込めない物件については、除却について検討せざるをえません。
逆に、右上のマスのように、市場性もあって物理的にも現況が良い場合には、売却や賃貸によって個人が活用することも、または、地域資源として自治会やコミュニティなどが交流拠点、活動拠点として活用することも考えられます。
そして、市場性があっても、物理的現況があまり良くない場合には、リフォームなどを行うことで、活用の可能性が高まると考えられます。

物件による判断図

2.所有者(名義人)が生前にしておくこと

管理の継承・相続問題の解決

相続人が複数になっている物件(共有物件)の場合、管理や処分について争いの原因になることもあります。
相続人をあらかじめ決めておくことでこれを回避することができます。

所有者が元気なうちに、相続人に負担がかからないよう、今からできる対策をしておきましょう。
また、将来相続人になる方も同様に、協力して対策をしていくことが大切です。

※R6年度から相続登記の申請が義務化されます。
売却・賃貸の意思は関係なく、早めに申請の準備をしておきましょう。
相続登記についての詳細は、お近くの法務局に相談してください。

【所有者が健在の場合】遺言を示す

家屋の所有者が亡くなった場合、相続人が複数人存在すると「遺産分割協議」が行われることになりますが、この協議がうまくいかないと、手続きが進まず家屋が空き家のまま放置されてしまう可能性があります。
また、所有者が亡くなった後、正式な遺言書によって相続人を指定していても、相続放棄をされてしまうこともありますので、所有者が健在のうちに、遺言をあらかじめ相続人に示しておくことが大切です。
※遺言で指定できるのは、所有者が死去した後の相続人となります。
指定した相続人がすぐに亡くなるなどした場合の二次相続について、要望を残すことはできません。

【所有者に意思能力がない場合】後見人制度を利用する

空き家の所有者は高齢であることも多く、場合によっては意思能力が十分でないケースもあります。
意思能力がない所有者に代わって、家族が家屋を売却してしまった場合、その契約は無効になってしまいます。

所有者が認知症や障害をお持ちで、判断能力が不十分な場合には、成年後見制度の活用を検討しましょう。

成年後見制度

※法定後見制度では、司法書士や弁護士が指定されることもあります。

民事信託・家族信託を検討する

所有者が元気なうちに、資産の管理・処分について本人の希望や方針、そのための権利などを信託契約書として残すことで、本人が元気な間は自身で財産管理を行い、本人が判断能力を喪失した場合には、受託者が本人の意向に沿った財産管理を行うことができます。
また、管理・処分だけでなく、家屋の売却や建て替え、買い替えなど、積極的な資産運用も受託者の判断で行うことができます。家族が受託者となることで、専門家への報酬を抑えることも可能です。
民事信託・家族信託は、後見制度より柔軟に資産管理を行え、二次相続について指定できるメリットがあります。
税制上のメリットはありませんが、有効な面も多く、空き家の発生を防ぐ上でも大いに検討する価値があります。

3.所有者が亡くなったら

相続の放棄や、遺産分割の方法などによって、将来に渡って生じる可能性がある空き家問題を回避することができますが、それぞれに手続きが可能な期限が決まっています。ここでは大まかに手続きの流れを見てみましょう。

相続について

 相続の発生(被相続人の死亡)

死亡届、各届出書類の提出、火葬などの手続き、通夜・葬式
(1) 遺言書の確認
遺言書の有無によって、相続財産を取得する人や相続登記手続き、必要書類が異なります。
(2) 相続人の確認
戸籍謄本を取り、法定相続人を確定させます。
(3) 相続財産の調査
登記簿や権利書、郵便物などから、資産と債務の調査を行います。

相続の選択

相続財産に対し単純承認や限定承認、または相続放棄の手続きが必要です。
(3ヶ月以内に限定承認もしくは相続放棄をしない場合、単純承認となる)

遺産分割協議

遺言書がない場合、法定相続人は遺産をどのように分配するかについて合意し、遺産分割協議書を作成する必要があります。

相続財産の名義変更手続き

銀行口座や株式の他に、不動産や土地などの相続登記の必要があります。

相続税の申告・納付

相続税は、相続によって得た財産に対して算出され、10ヶ月以内に申告・納付しなければいけません。

相続放棄について

相続人は、すべての遺産をそのまま相続する単純承認と、資産の範囲内のみ債務も相続する限定承認、そして放棄という選択肢が与えられています。
しかし実際には相続放棄をしても、被相続人の相続財産から発生する問題について完全に責任を免れるわけではありません

(参考)民法第940 条
相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。


相続放棄をした場合は、はじめから相続人でなかったものとみなされるのですが、放棄と同時に管理義務が消滅すると、他の相続人や相続財産管理人が管理をはじめるまでの空白期間について、放棄した相続人にも管理義務が課せられます。
つまり、相続を放棄しても、他の相続人が管理を開始する、物件の承継先が決まる、といったことがない限り、相続した場合と同様に管理を行わなければなりません

遺産分割について

遺産分割では、建物のように物理的な分割ができないものについて、なるべく共有名義になることを避けることが将来の問題を回避することになります。
相続人のうちの一人が相続する家屋に住み続けたい場合などはもちろんのこと、相続人の誰もがその家屋に居住しない場合でも、できるだけ名義が共有とならないよう、代償分割などを検討することが重要です。

遺産分割図

4.共有財産となった家屋の扱い

空き家を含む共有不動産について、共同所有者ができること、できないことの区分は、1. 保存行為、2. 管理行為、3. 変更・処分行為の3パターンが想定されています。民法の条文上、それぞれの行為を行うにあたっての要件を確認しましょう。

  1. 保存→各共有者単独
  2. 管理→持分の過半数
  3. 変更・処分→全員の同意

どのような行為が保存や管理、または変更・処分にあたるかについては、具体的に対象となる取引などの解釈が判例として示されています。


(参考)民法第251 条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
民法第 252条( 共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。​

共有物の「保存」

現状維持および他の共有者に不利益が及ばないようにする行為とされ、共有者のうちの一人が単独で行うことができます。物理的な現状が変わらず、他の共有者に不利益が及ばない行為を指すため、他の共有者の同意を得る必要はないということになっています。

 

  • 共有物の修繕
  • 腐敗しやすい物の売却(換価)
  • 共有物の不法占有者に対する明渡請求
  • 無権限で登記名義を有する第三者に対する抹消登記請求
  • 共有者全員への移転登記(相続時)

共有物の「管理」

共有物の使用・利用・改良を行う行為とされており、持分(価格)の過半数により決定することができます。
「利用」とは、共有物の性質を変更せずに収益を上げる行為を指し、「改良」とは共有物の交換価値を増加させる行為であると解釈されています。使用、利用、改良の分類はさておき、次のような行為が具体的な「管理」の例です。

  • 目的物の使用方法の決定
  • 共有物の賃貸借契約締結のうち、民法602 条(短期賃貸借)の期間を超えず、かつ借地借家法の適用がない場合
  • 賃貸借契約の解除
  • 使用貸借契約の解除
  • 共有土地上の賃借権の譲渡承諾
  • 賃借権の賃料減額

(参考)民法第 602条( 短期賃貸借)
処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。
(略)三 建物の賃貸借 三年

共有物の「変更・処分」

物理的変化を伴う行為(変更)・法律的に処分する行為(処分)には、共有者全員の同意が必要です。
具体例は次のとおりです。

物理的変化を伴う行為(変更)
  • 田畑を宅地に造成する行為
  • 建物の大規模な改修、建替え
  • 山林の樹木伐採
法律的な処分行為(処分)
  • 売買契約締結
  • 売買契約の解除
  • 用益物権(地上権)の設定
  • 賃貸借契約締結のうち次のいずれか。
  1. 民法602 条(短期賃貸借)の期間を超える場合
  2. 借地借家法の適用がある場合
  • 担保権の設定
  • 使用収益方法の変更

※自身の持分だけを対象とした売買や担保権設定は、共有者単独で行えます。
「変更」に該当するのは共有物全体(所有権全体)を対象とした処分行為を指しています。

共有財産の「活用」

空き家の活用という面から共有財産を考えた場合、建物自体の売却は当然、変更・処分にあたるため、共有者全員の同意が必要となります。
ただし、「管理」の項にあるように、民法602 条(短期賃貸借)の期間を超えずに物件を賃貸借の対象とすることは、共有物の性質を変更せずに収益を上げる「利用」にあたるため、共有者の過半数の同意があれば行うことができます。
したがって、共有財産となっている空き家を活用したいと考えた場合、共有者全員の同意を取ることが難しくとも、過半数の同意があれば3年以内の短期賃貸借で活用する方法があります。

5.空き家の管理をする

様々な理由や事情により、空き家となってしまった物件を利用しない場合でも、所有者は管理をする必要があります。
また、相続時に相続放棄したとしても、次の管理者が管理を開始するまでは管理義務があることは前述の通りです。ここでは空き家の保存・管理と、それを委託する際の注意点について見てみましょう。

空き家を放置するリスク

空き家をそのままにしておくと、費用や安全、環境といった面で、リスクを生じることとなります。

費用面

固定資産税や維持管理の費用がかかるだけでなく、倒壊の危険性があるような、特定空き家等と認定されてしまうと、行政が執行した除去にかかる費用を請求される場合もあります。また、老朽化による資産価値の低下も招きやすくなります。

安全面

災害などによる倒壊、火災のリスクが高まる他、空き家であることが知られることにより、放火や空き巣、不法滞在といった犯罪の温床になる可能性があります。

環境面

空き家があることで、土地の有効活用が進まないなど、住民の利便性が上がらなかったり、地域の活性化の妨げになったりするケースがあります。こうした事態に陥らないため、建物の老朽化が進行したり、治安面で周囲に影響を与えることのないよう、適切に管理をする必要があるのです。

空き家の管理

空き家の管理にあたっては、次のようなことを継続的に行います。

通風

建物を長期間に渡って締め切っていると、屋内に湿気がこもったり、カビが発生するなど、老朽化が急速に進みます。定期的に換気を行い、建物内の湿気を逃してやる必要があります。

通水

上水道の水道管が錆び付くと、破損などの恐れが増します。また、排水管に備えられているトラップに水が溜まっていないと、下水や排水溝からの悪臭が上がってくる原因になります。

建物内外の確認

雨漏りや外壁の損傷など、建物に関する異常から、庭の植物等の状態を確認します。雨漏りは小規模であっても発見が遅れると建物に大きな損傷を及ぼすため、十分に注意が必要です。

郵便箱の確認

放火や空き巣など、犯罪の温床として空き家が悪用される場合、郵便箱の状態によって犯罪者が空き家であることを確認する場合があります。定期的に郵便物やチラシなどを処分することで、空き家であっても誰かの管理下にあるということを示す効果があります。

空き家の管理を委託する

ここまでに挙げた空き家を放置するリスクによって第三者に損害を生じさせた場合、賃借人などの占有者が負う責任としては過失責任に留まるのに対し、所有者は無過失責任を負います。つまり、空き家が原因で起きるトラブルについては、所有者に過失がなくとも所有者が責任を負うことになるのです。
何らかの理由で空き家を活用することも、管理もできない場合には、所有者がそれぞれの権限により、管理業者に委託することも検討しましょう。

6.空き家にせずに活用する

地方の空き家の問題が拡大する一方で、地方移住を希望する方が引き続き存在していることを考えると、やはり空き家のまま管理を続けるよりも、何らかの活用を検討すべきです。ここでは特に、空き家を賃貸借の対象として活用する場合の可能性について考えてみましょう。

リフォームの可否

市場価値が高い物件にも関わらず物理的な状態が良くない場合には、リフォームによって活用できるかどうかを検討することになります。リフォームによる建物再生の可否は、次のようなポイントを調査して判断します。このポイントが押さえられていない場合、リフォームの費用が高額となり、活用による収益と見合わない可能性が高くなります。

 

  1.  屋根の状態…瓦のズレや材質、天井の雨漏りなど
  2.  構造躯体の状況…柱・梁の損傷具合、柱の傾き、床の損傷具合、強度など
  3.  水回りの状況…浴室、トイレ、キッチンなど

サブリースによる活用

所有者が建物の活用を検討しながらも、賃貸借の知識がないことなどを理由に躊躇している場合、事業者(不動産会社等)が貸主から賃借した建物を実際の入居者に転貸し、一定の建物管理を行うサブリースの手法も考えられます。
貸主は、事業者と賃貸借契約(サブリース原契約、マスターリースとも言う)を結び、実際に入居者を募集したり、入居者を選択し、契約を行うといった、一連の建物管理を包括的に任せることができます。
これにより、専門的な知識がなくとも、実際の入居者との交渉やトラブルは事業者が行うことになり、貸主の負担が減ることになります。
サブリースを利用する場合、所有者が得られる賃料は、直接賃貸の場合の賃料よりも低い設定となることが想定されますが、その差分が事業者の収益であり、所有者からみた場合には建物の管理コスト、入居者とのトラブルなどのリスクヘッジにかかるコスト軽減だと考えることができます。

サブリースのメリット

空き家問題を移住者誘致などを結びつけて活用を図る場合、空き家の修繕や片付けにかかる手間、地域外から来る賃借人の信用に関する不安、家賃収納、催促などの煩わしさが壁となることが多い中、そうした点を事業者が肩代わりすることで、空き家の活用が進むことは十分に考えられます。

借主負担DIY型の活用

所有者が、改修費用を負担することは難しいが現状のままであれば貸してもいいと考えている場合、自身の意向に沿って改修を行いたいと考える入居者が現れれば双方のニーズが合致します。そういったケースが増えている現状を踏まえ、国土交通省では、工事費用の負担者が誰かに関わらず、借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件をDIY 型賃貸借として定義し、普及に努めています。
また、原状回復義務についても120年振りに改正されるなど、柔軟になる傾向にあります。こうした手法と、サブリースを併用することで、空き家の活用をさらに進められる可能性があります。
入居に必要な最低限の修繕を事業者が行い、それ以外の修繕は入居者が行う、といった形がそれに該当します。

サブリース説明図

7.火災保険のはなし

物件の所有者と、借り手などの活用者とが上手に付き合っている場合、空き家の解消という面では好ましい状態と言えますが、ひとたび災害や火災などが起きた場合には、備えがないと大変な事態になりかねません。特に、失火によって物件が消失したり、一部が損傷した場合、失火責任法の定めによって失火の原因となった者から賠償を受ける事ができず、所有者等が大きな損害を被る可能性があります。
所有者が火災保険等に加入して自身の財産を守るのは当然として、ここでは主に借り手側が加入しておくべき保険について紹介します。


失火責任法によれば、失火の場合、失火者に重大な過失がなければ民法709条は該当しない、ということになっています。民法709 条とは、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」という内容で、本来は故意または過失によって他人に損害を与えたら賠償をしなければならないところを、失火の場合に限ってはこれに該当しない、ということになります。


(参考)失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)・・・明治三十二年に定められた法律
「民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」

ただし、条文にもあるように、重大な過失がある場合にはこの限りではありません。
重大な過失にあたるかどうかは個別に判断されますが、例えば、次のような場合とされています。

 

  • 台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中、その場を離れて出火させた場合
  • たばこの吸殻が完全に消えたことを確認せず、その吸殻を紙類が入ったビニール製ごみ袋に入れて放置したまま外出し、出火した場合
  • 漏電の可能性があり回線修理等の指摘を受けたが、適切な措置を講じなかったため、漏電により出火した場合など(日本損害保険協会HP より)

したがって、賃借人が失火によって火災を起こした場合でも、重大な過失がない場合には損害を賠償する責任は負わないということになります。
しかし、不法行為(失火)による損害賠償の責任はないとしても、借りている家が焼けてしまった場合には、原状回復義務を果たせないため、賃貸契約に書かれている義務を果たせない債務不履行という状態になります。
また、自分の家財道具が焼けてしまったり、隣家に損害を与えてしまった場合など、他にも補償が必要になるケースが考えられます。こうしたことを整理すると、次の3 つに備える必要があります。

(1)家財保険

火災、落雷、爆発、水害、水漏れなどを主な対象とし、それ以外にも、そうした被害で使えなくなった家財道具を処分したりする費用も補償されるなど、多くの補償内容があります。前述の通り、他者の失火によって自分の家財道具が損害を受けた場合、相手に重大な過失がなければ失火責任法によって損害賠償を請求することができません。そうした場合にも、この保険によって受けた損害を補償してもらうことができます。また、この保険は主契約(メインの保険)として契約することができるため、賃貸物件の火災保険としては基本の保険ということになります。次項以降の補償内容は、この家財保険の特約として付加することになります。
(注意)30 万円を超える貴金属・美術品・宝石・骨董品や、書籍などの原稿、設計書、図案、証書、帳簿といった、客観的な価値判断が難しいものについては「明記物件」とされ、契約時に申告が必要です。申告には鑑定書や領収書といった確認書類が必要となり、内容については保険証券に明記されます。(申告が不要で、補償額の上限を「1事故あたり100 万円まで」などと決められている場合もあります)

(2)借家人賠償責任保険

前項の家財保険は、賃借人が自分自身の家財道具を守るための保険でしたが、こちらは大家さんの建物についての損害を賠償するための保険です。
賃貸物件では、賃貸契約を締結する際に「原状回復義務」が賃借人に課せられていることがほとんどで、契約が終了した時点で物件を借りたときと同じ状態に戻して退去することになっています。そのため、火災などによって、借りていた物件に損害を与えてしまった場合、貸借人の負担で元通りにする必要があります。失火責任法によって、火災を発生させてしまった責任については問われないとしても、原状回復義務は果たす必要があります。また、失火以外の原因、例えば水害などによって借りている物件に損害が生じた場合でも、この保険によって補償を受けることができます。


IJU コンシェルジュや、地元住民の紹介で移住者に空き家を紹介する場合など、原状回復義務がない賃貸借契約を結ぶことがあるかもしれません。しかし、それはリフォーム箇所などの原状回復についてであり、失火や水害などを想定したものではないことが多いと考えると、この保険が必要となります。この保険は一般的に、家財保険の特約となっていることが多く、単体で加入することはできません。家財保険に加入する前提で、特約としてこの補償を付加することになりますが、おおむね1,000 万円~ 2,000 万円程度の補償内容となるのが一般的です。
(注意)失火法を根拠とした免責は、失火者に重過失がない場合となっているため、賃借人に重過失があって失火を生じた場合には賠償責任があります。この保険からその補償を行うことができます。

(3)個人賠償責任保険

日常生活で他人に損害を与えたり、ケガをさせたりした場合の補償が、この個人賠償責任保険です。補償の内容は多岐に渡っており、火災で隣家に損害を生じた場合はもちろん、水漏れなどで損害を与えた場合などにも補償金が支払われます。自転車で通行人に衝突し、ケガを負わせた際などにも補償されるため、自動車保険や損害保険の特約として加入している場合があります。自身で同じ内容の保険を重複して契約しないよう、注意する必要があります。補償内容も1000 万〜1億円と、非常に幅が広いため、内容は十分に検討する必要があります。

その他の保険

その他、備えておくと良いものに地震があります。地震保険も、家財保険の特約となり、単体での契約はできませんが、地震による損害に対しては地震保険以外では補償されないため、家財保険の加入時に検討するとよいでしょう。
いずれの保険についても、物件の所有者と活用者の双方が納得できる内容で契約することが重要です。特に移住者等への支援の一環として各団体や個人が間に入る形で物件や所有者を紹介する場合、有事の際には仲介者自身が責を問われることになりかねません。保険の加入状況についてはしっかり確認をすべきです。

賃貸借と火災保険の図


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