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白銀師(しろがねし)
鎺(はばき)をつくる
鞘(さや)の中で刀身は鞘に触れることなく浮いていることをご存知ですか?その役割を担っているのが鎺(はばき)です。刀の根元をしっかり締めくくり、刀身がぐらぐらして鞘に当たらないように支える役目をもっています。鎺は刀身の延長であり、刀身ひとつひとつの形に応じた作品が求められ、それ自体も観賞の対象となっています。
作業工程
切り出し
素材は銅が多く用いられますが、金や銀を使うこともあります。素材を作ろうとする大きさに切り落とします。
火造り(ひづくり)
切り出した素材を熱して金槌(かなづち)で叩き、棟側(むねがわ)の中央部分を残し、刃側の部分を伸ばします。これを刀身に合わせ折り曲げます。刀に合わせて棟の区(まち)に来る部分を切り抜きます。
鑞づけ(ろうづけ)
はばきの刃側にあたる部分に、区金(まちがね)という細棒をはめ込み、銀鑞(ぎんろう)という、銀に真鍮(しんちゅう)を混ぜ合わせた合金を置いて加熱することで、合わせ目を接着します。
上貝(うわがい)
二重(ふたえ)鎺を製作する場合は、装飾性をもつ上貝(うわがい)を鎺本体に合わせ、上記の工程を繰り返して製作します。
鍛造(たんぞう)
鑞(ろう)づけが済んだ下地を茎(なかご)に合わせ、金槌で叩いて締めながら押し上げ、区(まち)に納まるようにします。
金着せ(きんきせ)
形が決まり、上貝(うわがい)を装着したら、はばきに薄い金の板を被せ、なじませます。また、最後に鑢(やすり)または鏨(たがね)で装飾を施します。